ファイアウォール / IDS / IPS / WAFの違い

目次

違いのまとめ

主な役割 主な防御対象 主な設置場所
ファイアウォール 不要な通信の通過を防ぐ トランスポート層(L4),
ネットワーク層(L3)
ネットワークの境界(インターネットと社内LANの間)
IDS 不正アクセスや攻撃の検知 アプリケーション層(L7)~
ネットワーク層(L3)
ネットワーク内の監視ポイント
IPS 不正アクセスや攻撃の検知+遮断 アプリケーション層(L7)~
ネットワーク層(L3)
ネットワークの境界や重要サーバ前
WAF Webアプリケーションへの攻撃を防御 アプリケーション層(L7)
HTTP/HTTPS通信
Webサーバの前

ファイアウォール(Firewall)

ファイアウォールとは、ネットワークの境界に設置し、許可された通信だけを通過させ、不正な通信を遮断する仕組みです。

 

1. ファイアウォールの仕組み

ファイアウォールは、あらかじめ設定したルールに従って通信を判断します。

例えば、Webサーバーの場合は次のようになります。

通信 動作
TCP 443(HTTPS) 許可
TCP 80(HTTP) 許可
TCP 22(SSH) 管理者のIPのみ許可
その他の不要な通信 遮断

 

2.ファイアウォールは何を見ているのか

一般的なファイアウォールでは、次の情報を使って通信を制御します。

  • 送信元IPアドレス:どこから来た通信か
  • 宛先IPアドレス:どこに向かう通信か
  • ポート番号:どのサービスへの通信か
  • プロトコル:TCP、UDPなど
  • 通信状態:確立済みの通信に関連しているか

高機能なファイアウォールでは、アプリケーションや通信内容も識別できます。

 

3.ファイアウォールの主な種類

種類 特徴
パケットフィルタリング型 IPアドレスやポート番号などで判断
ステートフル型 通信の接続状態も考慮
プロキシ型 通信を代理で受け取り、中継する
次世代ファイアウォール(NGFW) アプリケーション識別や侵入防御などにも対応

また、設置場所によって、ネットワーク型とホスト型に分けることもできます。  

 

4.AWSのセキュリティグループとの違い

AWSにはファイアウォールに相当する仕組みがあります。

機能 特徴
セキュリティグループ EC2などの通信を制御。ステートフル
ネットワークACL サブネット単位で通信を制御。ステートレス
AWS Network Firewall VPC内のネットワーク通信を高度に検査・制御
AWS WAF WebアプリケーションへのHTTP/HTTPS攻撃を防御

 

5.ファイアウォールだけで安全なのか

ファイアウォールがあっても、すべての攻撃を防げるわけではありません。

例えば、HTTPS(443番)を許可している場合、その通信を悪用した攻撃が通過する可能性があります。

そのため、ファイアウォールに加えて、WAF、IDS/IPS、EDRなどを組み合わせることが重要です。

IDS (Intrusion Detection System)

IDSとは、不正侵入を検知して管理者に通知する仕組みです。遮断までは行いません。

侵入検知システムとも呼ばれます。

 

1. IDSの仕組み

例えば、次のような動作を検知します。

  • 短時間に大量のログイン失敗が発生する
  • 不正アクセスで使用される攻撃パターンが見つかる
  • サーバーに対してポートスキャンが行われる
  • 不審な通信が大量に発生する

IDSは異常を発見すると、管理者にアラートを通知します。

ただし、IDSは基本的に攻撃を検知する仕組みであり、通信そのものを遮断するものではありません。

 

2. IDSには2種類ある

種類 監視対象 特徴
NIDS(ネットワーク型IDS) ネットワーク通信 ネットワーク上の攻撃を検知
HIDS(ホスト型IDS) サーバーやPC ログ、ファイル改ざん、不審な動作などを検知

 

3. AWSでのIDS

AWSでは、Amazon GuardDutyがIDSに近い役割を果たします。
GuardDutyは、VPC Flow Logs、CloudTrail管理イベント、DNSログなどの情報を分析し、不審な動きを検知します。

ただし、従来のネットワーク型IDSとは監視方法が異なり、標準では通信を直接遮断しません。

IPS (Intrusion Prevention System)

IPSとは、ネットワークへの不正アクセスやサイバー攻撃を検知し、自動的に遮断まで行う仕組みです。

侵入防止システムとも呼ばれます。

 

1. IPSの仕組み

IPSは通常、ネットワーク通信の経路上に配置され、通信内容を検査します。
例えば、次のような攻撃を検知・遮断します。

  • SQLインジェクション:データベースを不正操作しようとする攻撃
  • OSの脆弱性を狙う攻撃:既知の脆弱性を悪用する通信
  • ポートスキャン:サーバーの開いているポートを探す行為
  • 不正な通信パターン:既知の攻撃シグネチャに一致する通信

ただし、検知・遮断できる攻撃は製品の機能や設定によって異なります。

 

2. AWSでのIPS

AWSでは、AWS Network Firewall がIPSに相当する機能を提供しています。
AWS Network Firewallでは、ステートフルルールを利用して不正な通信パターンを検査し、条件に一致した通信を遮断できます。

一方、Amazon GuardDutyは主に脅威の検知を担当し、標準では通信を直接遮断しません。

WAF (Web Application Firewall)

WAF(ワフ)とは、WebサイトやWebアプリケーションへの不正な通信や攻撃を検知し、遮断する仕組みです。

ファイアウォールがネットワークの通信を制御するのに対して、WAFはWebサイトに送られてくるHTTP/HTTPS通信の内容を検査し、攻撃を防ぎます。

 

1. WAFの仕組み

例えば、Webサイトにログイン画面がある場合、通常のアクセスは許可しますが、攻撃と判断したリクエストは遮断します。

 

2. WAFが防ぐ主な攻撃

攻撃 内容
SQLインジェクション 不正なSQLを送り、データベースを操作しようとする
クロスサイトスクリプティング(XSS) 悪意のあるスクリプトをWebページに埋め込もうとする
パストラバーサル 本来アクセスできないファイルを参照しようとする
ブルートフォース攻撃 ログインを大量に試行する
HTTPフラッド 大量のHTTPリクエストでサービスに負荷をかける

ただし、すべてのWAFがこれらを完全に防御できるわけではありません。ルールや設定、製品の機能に左右されます。

 

3. AWSでのWAF

AWSには、AWS WAFというサービスがあります。
主に次のサービスと組み合わせて使用できます。

  • Amazon CloudFront
  • Application Load Balancer(ALB)
  • Amazon API Gateway
  • AWS AppSync

AWS WAFでは、AWSが提供するマネージドルールを利用することで、一般的なWeb攻撃への対策を比較的簡単に導入できます。
また、IPアドレスによる制限、国・地域による制限、一定時間内のアクセス回数に応じた制限なども可能です。

 

4. WAFだけで安全になるのか

WAFを導入しても、Webアプリケーションの脆弱性がなくなるわけではありません。
例えば、Webアプリケーションの認証処理に欠陥がある場合、WAFだけでは防げない可能性があります。
そのため、アプリケーションの修正、認証強化、OSやミドルウェアの更新なども必要です。

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