損益計算書とは(売上高/粗利/営業利益/経常利益/当期純利益)

目次

損益計算書とは

損益計算書(そんえきけいさんしょ)とは、一定期間に会社がどれだけ儲かったか(または損したか)を示す財務書類です。

P/L(Profit and Loss Statement)とも呼ばれます。

何が分かるか

  • 売上はいくらか
  • コストはいくらか
  • 最終的な利益(または損失)はいくらか
  • どの段階で利益が出ているか

その結果、

企業の収益力や経営効率を把握できます。
投資家や債権者が将来性を判断する材料になります。
経営者がコスト削減や戦略立案に活用できます。

 

貸借対照表と損益計算書の違い

何を示す? 期間
貸借対照表 財産の状態(ストック) 特定の日付(例:3月31日時点)
損益計算書 利益(フロー) 一定期間(例:2025年4月〜2026年3月)

イメージとしては、貸借対照表は企業の健康診断表(体の状態)、損益計算書は企業の通知表(成績)です。

損益計算書の基本の構造

売上高
- 売上原価
= 売上総利益(粗利)
商品そのものの儲け
→ ビジネスモデルの強さ
- 販売費及び一般管理費(人件費・広告費など)
営業利益
本業での儲け
→ 会社の実力を一番よく表す
+ 営業外収益(受取利息など)
- 営業外費用(支払利息など)
経常利益
本業+金融など含めた通常の儲け
→ 安定性
+ 特別利益
- 特別損失
税引前当期純利益
臨時の収入と損失を追加
- 法人税など
当期純利益(最終利益)
最終的に残った利益

英語では

Revenue 収益 売上高など、事業活動で得た収入の合計。
Expenses 費用 売上原価、販売費、一般管理費、支払利息など、収益を得るためにかかったコスト。
Profit 利益 収益から費用を引いた差額。

売上高

売上高(うりあげだか)とは、会社が商品やサービスを販売して得た収入の合計です。

ポイント

収入 ≠ 利益 売上高はあくまで入ってきたお金の総額であり、そこから費用を引いて初めて利益になります。売上高が大きくても、費用がそれ以上にかかっていれば赤字になります。
税抜きで計上 消費税は含めず、税抜きの金額で記載するのが一般的です。
返品・値引きは差し引く 返品や値引きがあった場合は、売上高から差し引いて純売上高として計上します。
市場シェアの目安 売上高が大きいほど、その市場で大きな影響力を持っていることを示します。
成長性の判断 前年と比較して売上高が伸びていれば、事業が拡大していると判断されます。
→売上が大きくて赤字の場合あり→売上と利益はセットでみる

※鉄道業や銀行、不動産業など、物品の販売ではないサービスを提供している業種では「売上高」の代わりに「営業収益」を使うことがあります。

売上総利益(粗利)

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上総利益(粗利)とは、売上高から売上原価を引いた利益のことです。

商品・サービスそのものの儲けを表す利益です。

 

売上原価とは?

商品・製品を販売するために直接かかったコスト、商品に直接関係する費用のことです。

小売業 仕入れた商品の購入費用
製造業 原材料費・製造にかかる人件費・工場の光熱費
飲食業 食材費

 

粗利率とは

粗利率とは、売上高に対する粗利の割合です。

粗利率が高いほど、付加価値の高いビジネスといえます。

業種によって平均的な粗利率は異なります。

ソフトウェア・IT 60〜80%
飲食業 60〜70%
小売業 20〜40%
製造業 20〜40%

営業利益

営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費

営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を引いた額です。

商品力(粗利)が良くても、広告費をかけすぎたり、オフィスが豪華すぎて家賃が高かったりすると、営業利益は低くなります。つまり、稼ぐ仕組みが効率的かが浮き彫りになります。

 

販売費・一般管理費(販管費)とは?

商品を売るため・会社を運営するためにかかる間接的なコストです。

販売費 広告宣伝費・営業担当者の人件費・送料
一般管理費 役員報酬・事務員の給与・家賃・水道光熱費・減価償却費・貸倒引当金

 

減価償却費とは

建物や車を使用することにより価値が減少した分を指します。
売上を上げるために使用された金額という考え方です。

実際には金額を支出しない→営業利益は減る→税金が減りお金が残ります。

 

貸倒引当金とは

売上の代金で回収できなくなるかもしれない分を計上しておくことです。

通常の売掛金に対する貸倒引当金は販管費ですが、営業外の債権、例えば貸付金、投資先への債権は営業外費用になります。

 

注意点

営業利益が黒字でも、手元に現金があるとは限りません。

例えば、売上は上がっているけれど代金の回収が半年後という場合、帳簿上は営業利益が出ますが、手元の現金は増えていないため、いわゆる黒字倒産のリスクがあります。

経常利益

経常利益 = 営業利益-営業外費用+営業外収益

経常利益とは、営業利益に本業以外の日常的な収益・費用を加味した利益のことです。会社が通常の活動全体でどれだけ稼いでいるかを示します。

経常(けいつね)=毎期継続して発生する収支を反映しているため、企業の実力をより総合的に示す指標として重視されます。

日本では特に経常利益が重視される傾向があり、決算発表でも注目されます。

営業利益と経常利益の差が大きい場合、借入金が多い(支払利息が大きい)か、金融資産が多いかのどちらかが多いです。

 

営業外収益とは?

本業以外から定期的に得られる収入です。

受取利息 銀行預金や貸付金の利息
受取配当金 保有株式からの配当
為替差益 外貨取引で生じた利益
有価証券売却益 株式などの売却益

 

営業外費用とは?

本業以外で定期的に発生するコストです。

支払利息 借入金・社債の利息
為替差損 外貨取引で生じた損失
社債発行費 社債を発行するためのコスト

 

世界的に見た場合、経常利益はでてこない

経常利益という項目は日本独自の会計慣行に近いもので、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準を採用している企業(トヨタやソフトバンクグループなど)の決算書には、この経常利益という項目が直接出てこないことが一般的です。

当期純利益

当期純利益 = 経常利益-特別損失+特別収益-法人税等

当期純利益とは、企業が一定期間(通常は1年間)に稼いだすべての収益から、すべての費用と法人税などの税金を差し引いた、最終的に手元に残る利益のことです。

配当金の原資になります。

EPS(1株あたり利益)の計算に使われ、株価に直結します。

内部留保として会社に蓄積され、将来の投資・成長の原資になります。

 

特別利益とは?

臨時的・一時的に発生した利益です。毎期継続して発生するものではありません。

固定資産売却益 土地・建物・設備の売却で得た利益
投資有価証券売却益 株式などの売却益
保険差益 火災などの際に受け取った保険金が損失を上回った分

 

特別損失とは?

臨時的・一時的に発生した損失です。

固定資産売却損・除却損 土地・建物・設備の売却や廃棄による損失
減損損失 資産の価値が大幅に下がった際の損失
災害損失 地震・火災などによる損失
リストラ費用 早期退職の割増退職金など

 

法人税等とは?

法人税 国に納める税金
住民税 都道府県・市区町村に納める税金
事業税 事業活動に対してかかる税金

 

注意点

本業は赤字なのに、ビルを売って最終黒字というケース
→ 営業利益はマイナスだが、特別利益で当期純利益がプラスになっている状態。来年以降も続く利益ではないため、注意が必要です。

本業は絶好調なのに、最終赤字というケース
→ 営業利益はプラスだが、将来のために古い設備を一気に廃棄した(特別損失)などの理由があるかもしれません。この場合、翌年以降の収益性はさらに高まる可能性があります。

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