国債とは(長期金利と利回りとオペレーション)

目次

国債とは 

国債とは、国(政府)がお金を借りるために発行する借用証書(借金の証明書)のことです。

国が公共サービスを行うにはお金がかかります。

その費用は主に税金でまかなわれますが、税金だけでは足りない場合、国は外部からお金を借ります。

その際に発行されるのが国債です。

 

流れ

1.国(日本なら政府)が資金を必要とします。

2.銀行、生命保険会社、あるいは個人(個人向け国債)などがその国債を購入し、国にお金を貸します。

3.国はその借りたお金を予算として使い、社会を運営します。

4. 約束の期限(満期)が来たら、国は借りたお金に利子を乗せて、購入した人に返します。

 

特徴

・発行体が国なので、一般的に信用リスクが低い(デフォルトしにくい)。国が破綻しない限り、貸したお金と利子が確実に戻ってきます。

・利回りは社債や株式より低めだが、安全性が高い。銀行に預けておくよりも少し高い利息がつく場合が多く、安全な資産運用先として選ばれます。

・満期は短期(1年以下)から超長期(30〜40年)までさまざま

・流通市場で売買できるため、満期前でも換金可能

 

日本の国債(JGB)

日本では日本国債(JGB: Japanese Government Bond)と呼ばれ、財務省が発行しています。

個人向けには個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)もあり、最低1万円から購入できます。

 

政府と財務省の関係

財務省は政府の一部(行政機関)であり、国の財政全般を管轄しています。

政府(内閣)
└── 財務省
   ├── 予算編成
   ├── 税制
   ├── 国債の発行・管理 ← ここで国債と関わる
   └── 関税など

・政府(内閣)がいくら国債を発行するかを予算案として決定し、国会の承認を得る。

・財務省がその決定に基づいて、実際の発行業務を執行する。

 

政府と財務省と市場・投資家と日本銀行の関係

政府 国債発行の意思決定者です。予算編成でいくら国債を発行するかを決定し、国会の承認を経て財務省に執行を指示します。国債から得た資金は公共サービスや社会保障に使われ、投資家への利払い・償還も政府の義務です。
財務省 政府の一機関として、実際の発行業務を担います。入札の実施、個人向け販売、利払い管理、借換えなど、国債のライフサイクル全体を執行します。
市場・投資家 (銀行・生命保険会社・個人など)は国債の最終的な購入者です。財務省から国債を買い、定期的に利子を受け取り、満期に元本を回収します。
日本銀行 市場(投資家)が保有する国債を買い入れることで金融政策を実施し、長期金利をコントロールします。政府から直接国債を購入すること(直接引受け)は財政法第5条で原則禁止されています。これは、通貨の無制限発行によるハイパーインフレを防ぐための重要な歯止めです。

 

国債の役割

国にとって 財政赤字の補填、公共事業・社会保障の財源
投資家にとって 安全な運用手段、安定した利息収入
経済にとって 金利の基準(長期金利のベンチマーク)

 

国債の種類

満期(償還期間)による分類

短期国債(TB) 1年以下(3ヶ月・6ヶ月・1年)。一時的な資金不足を補うために発行されます。
中期国債 2年・5年。比較的短いスパンで資産を運用したい投資家に選ばれます。
長期国債 10年。もっとも代表的な国債です。この利回りは、住宅ローンなどの長期金利の指標になります。
超長期国債 20年・30年・40年。非常に長い期間で、生命保険会社などが年金の支払い原資などのために購入します。

 

目的による分類

建設国債 道路、橋、ダムなどの後世に残る資産を作るための借金です。
赤字国債(特例国債) 税収だけでは社会保障費などの経常的な予算が足りない場合に、特例として発行される借金です。
借換国債(かりかえこくさい) 過去に出した国債の返済期限が来たとき、その返済資金を作るために新しく出す国債です。
財政投融資債(財投債 国が民間企業や公的機関に低利で融資を行うための資金調達として発行されます。

 

利息の決まり方による分類

固定利付債(こていりつきさい) 発行時に決まった利息が、満期までずっと変わらない
変動利付債(へんどうりつきさい) 世の中の金利状況に合わせて、受け取れる利息が定期的に見直される
物価連動国債 物価が上がると元本が増え、物価が下がると元本が減る。インフレに強い。

 

買い手による分類

利付国債 主に銀行や証券会社などの機関投資家が売買する、市場で流通する国債
個人向け国債 個人が買いやすいように工夫された国債

国債の価格と利回りの関係

国債の価格と利回りは、逆の動きをします。

価格が「上」がると、利回りが「下」がります。

価格が「下」がると、利回りが「上」がります。

 

理屈

一般的に株式の人気がある時は国債が売られ、株式の人気が無い時は国債が買われます。

景気が良くて株式の人気がある → 国債の人気がない=国債の価格が安い → 額面金額との差が大きい → 利回りが高い

景気が悪く株式の人気がない → 国債の人気がある=国債の価格が高い → 額面金額との差が小さい → 利回りが低い

長期金利とは

長期金利とは、満期までの期間が長い(一般的に10年以上)借入や債券にかかる金利のことです。

日本では10年物国債の利回りが長期金利の代表的な指標として使われています。

 

10年物国債が基準の理由

国債は国が発行する借金なので、日本で最も信頼度が高い(=倒産のリスクが極めて低い)金融商品です。

そのため、銀行が企業や個人にお金を貸すとき、国ですらこの利息で借りているんだから、民間にはそれ以上の利息をつけようと考えます。これが、長期金利が経済の基準になる理由です。

 

長期金利が決まる仕組み

長期金利は、政府が決めるものではなく、市場(投資家たちの取引)によって毎日変動します。

主な決定要因

将来のインフレ予想 インフレが高まると予想されれば金利は上がる
経済成長の見通し 景気が良くなる見通しなら金利は上がる
国債の需給 買い手が多ければ価格↑・金利↓、少なければ逆
日銀の金融政策 国債買入れで金利を抑制できる
海外金利の動向 米国の金利上昇は日本にも波及しやすい

 

長期金利が経済に与える影響

長期金利はあらゆる金利の土台になるため、経済全体に広く影響します。

住宅ローン(固定) 長期金利に連動して変動(借りる時に決まり、その後は完済まで固定)
企業の設備投資 借入コストが上下する
株価 長期金利が上がれば、 株式の魅力が相対的に低下→株価は下がりやすい
政府の利払い費 金利上昇→国債の利払い負担が増加

※住宅ローンの変動金利は、短期金利(日銀の政策金利)と連動します。

 

政策金利と公開市場操作(オペレーション)

政策金利

政策金利とは、日銀が景気・物価をコントロールするために設定する金利の目標値です。

具体的には、銀行同士が翌日返済で資金を貸し借りする際の金利(無担保コール翌日物金利)を目標として設定します。

 

公開市場操作

公開市場操作とは、日銀が市場(銀行など)との間で国債などを売買することで、世の中に出回るお金の量を調整する操作です。

政策金利 日銀がこの水準にしたいと決める目標
公開市場操作 その目標を達成するための手段

 

公開市場操作の手段として買いオペと売りオペがあります。

買いオペレーション(金利を下げたい)

日本銀行が国債を民間銀行から買い取る(民間にお金を供給する) → お金が余る状態 → 金利が下がる

国債を買うので買いオペレーション、買いオペとも呼ばれます。

 

売りオペレーション(金利を上げたい)

日本銀行が民間銀行に国債を販売する(民間からお金を吸い上げる) → お金が足りない状態 → 金利が上がる

国債を売るので売りオペレーション、売りオペとも呼ばれます。

 

政策金利と長期金利の違い

決める主体 期間 影響するもの
政策金利 日銀が決定 翌日(超短期) 変動金利ローン
長期金利 市場が決定 10年前後 固定金利ローン

 

政策金利の歴史(日本)

政策金利の水準 背景
1990年代前半 6%台 バブル崩壊前後
1999年 ほぼ0% ゼロ金利政策開始
2001〜2006年 0% 量的緩和
2016〜2024年 −0.1% マイナス金利政策
2024年以降 0.25%→0.5% 利上げ開始

2016年から2024年まで日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール)政策で長期金利をほぼゼロに抑えていましたが、2024年以降は政策変更により金利が上昇基調にあります。

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