貸借対照表とは(資産/負債/純資産)

目次

貸借対照表とは

貸借対照表とは、ある時点での会社の財産とその内訳を示す財務諸表です。

B/S(Balance Sheet)とも呼ばれます。

貸借対照表は左右(資産と負債+純資産)に分かれており、常に左右の合計が一致します。これがバランスシートの由来です。

資産 = 負債 + 純資産

左側(借方)は、資産で企業が保有するものです。

・現金・預金
・売掛金
・棚卸資産(在庫)
・固定資産(建物・機械など)

右側(貸方)は、負債+純資産で資産をどのように調達したかを示します。

・負債:借入金、買掛金など(他者からの調達)
・純資産:資本金、利益剰余金など(自己資金)

 

何が分かるか

・負債(借金)に対して純資産や現金が十分にあるかを確認することで、会社の安全性(支払能力)を判断できます。

・持っている設備や現金を使って、どれだけ効率よく事業を行っているかを分析できます。

・自己資本比率(純資産 ÷ 総資産)などを見て、企業の財務的な健全性を評価できます。

 

貸借対照表と損益計算書の違い

何を示す? 期間
貸借対照表 財産の状態(ストック) 特定の日付(例:3月31日時点)
損益計算書 利益(フロー) 一定期間(例:2025年4月〜2026年3月)

イメージとしては、貸借対照表は企業の健康診断表(体の状態)、損益計算書は企業の通知表(成績)です。

 

英語では

Assets 資産 会社が持っているもの
Liabilities 負債 他人から借りたお金
Net Assets 純資産 自分のお金

資産とは

資産とは、将来、利益や現金を生み出すと期待されるものです。

 

資産には、大きく流動資産と固定資産に分けられます。

流動資産

流動資産は、1年以内に現金化できる資産です。

現金・預金 手元の現金、銀行預金
売掛金 商品を販売したがまだ受け取っていない代金
棚卸資産 これから売って現金に変える予定の商品
受取手形 取引先から受け取った約束手形

 

固定資産

固定資産は、1年以上にわたって使用・保有する資産です。

有形固定資産 形のある資産建物
土地・機械・車両
無形固定資産 形のない資産
特許権・ソフトウェア・のれん
投資その他資産 長期保有の投資
株式・長期貸付金

 

繰延資産

繰延資産は、本来は費用として支払ったものですが、その効果が将来にわたって続くため、便宜上資産として計上するものです。

・創立費、開業費など

 

ポイント

資産は、今は形が違ってもいつか現金(キャッシュ)に変わるものです。

建物や機械 それを使って製品を作り、売ることで現金を生む。
売掛金 数ヶ月後に現金として入ってくる。
投資信託や株 売却すれば現金になる。

逆に、会社が持っているものであっても、将来全くお金を生まない(価値がゼロの)ものは、会計上は「資産」とは呼べず、損失として処理されることになります。

 

資産と費用の違い

資産 支払った後も、価値が手元に残るもの(例:10年使えるパソコン、数年住める家)。
費用 支払った瞬間に価値が消えてしまうもの(例:その月の電気代、食べたランチ代)。

20万円でパソコンを買った場合、それは単なる出費(費用)ではなく、数年間仕事に使える資産として貸借対照表に載り、少しずつ減価償却という形で費用に変わっていきます。

負債とは

負債とは、将来的に返済・支払いの義務を負っているものの総称です。

負債には、流動負債と固定負債があります。

流動負債

流動負債は、1年以内に返済・支払いが必要な借金です。

買掛金 商品を仕入れたがまだ支払っていない代金
短期借入金 1年以内に返済する借入金
未払金 サービスを受けたがまだ支払っていない費用
前受金 商品・サービスを提供する前に受け取った代金

 

固定負債

固定負債は、返済まで1年以上かかる借金です。

長期借入金 銀行などからの長期ローン。
社債 会社が投資家からお金を借りるために発行した証券。
退職給付引当金 従業員が将来退職するときに備えて、今のうちに積み立てている準備金。

 

ポイント

負債=借金というとマイナスに聞こえますが、事業拡大のための戦略的な借入は必ずしも悪ではありません。

低金利で借りたお金を使い、それを上回る利益を生む投資(新しい工場、システム開発など)に充てる場合。これは事業を成長させるレバレッジ(テコの原理)になります。

ただし、返済能力を超えた過剰な借入はリスク大です。

負債が多いということは自分の手持ち資金(純資産)だけでなく、他人の力を借りて事業を大きくしているという状態を表しています。

 

自己資本比率

自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100

この数値が高いほど、負債への依存が低く財務的に安定しています。一般的に40%以上が健全とされます。ただし、業界によって基準が違います。

IT・サービス業(50%以上が普通) 大きな設備が必要ない持たざる経営が可能なため、利益が蓄積されると自己資本比率が高くなりやすい
鉄道・電力・不動産・航空(20〜30%でも普通) 設備投資が大きく借金が多いため

純資産とは

純資産とは、資産から負債を差し引いた残りのことです。企業が本当の意味で自分のものとして持っている財産です。

純資産の構成

1. 株主資本

株主のものと言えるお金です。

資本金 株主が出資した元手のお金
資本剰余金 株主から出資されたお金のうち、資本金(会社の元手)として計上しなかった残りの分
利益剰余金 過去から積み上げてきた利益の蓄積
自己株式 自分の会社の株を買い戻したもの(これはマイナス項目になります)

資本剰余金で余りを作るのは、すべてを資本金にしてしまうと、後で変更するのが大変なためです。
資本金は、 登記が必要で減らす(減資)には債権者保護の手続きなど厳しいルールがあります。

 

2. 評価・換算差額等

持っている資産の含み益や含み損など、まだ確定していない利益です。

有価証券の評価差額 持っている株の値上がり分など
為替換算調整勘定 海外資産を円に換算した際に出る為替の差。

 

3. 新株予約権・非支配株主持分

新株予約権 将来株式に転換できる権利
非支配株主持分 子会社の少数株主の持分
※単体ではなく連結財務諸表のみに登場

 

新株予約権

新株予約権とは、あらかじめ決められた価格で、将来その会社の株式を購入できる権利のことです。

ストックオプション(役員・従業員向け) 従業員や役員に新株予約権を付与する制度
・株価が上がれば従業員も利益を得られる
・会社の業績向上へのインセンティブになる
資金調達(新株予約権付社債・ワラント債) 社債に新株予約権を組み合わせた金融商品
・投資家にとって利息+株式購入の権利という魅力がある
・企業は低い利率で資金調達できる
買収防衛策(ポイズンピル) 敵対的買収の際に、既存株主に有利な条件で新株予約権を発行
・買収者の持分比率を強制的に薄める
・買収コストを大幅に引き上げる効果がある

新株予約権の発行が出て、権利が行使されて新しい株が大量に発行されると、1株あたりの価値が薄まります(希薄化)。分母である発行済株式数が増えます。

 

非支配株主持分

非支配株主持分は、子会社を部分所有しているときに発生する概念です。
純資産だが親会社の株主のものではない部分を明示しています。
(連結決算では、子会社を100%自分の会社として合算するというルールがあります)

→非支配株主持分が大きいということは、100%子会社ではない合弁会社や上場子会社が多いことを意味します。
子会社がどれだけ儲けても、その利益の一部は最終的に非支配株主のものになり、親会社の取り分にはなりません。

 

増資とは

企業が新たに株式を発行して資金を調達し、資本金を増やすことです。

増資の種類

公募増資 不特定多数の投資家に新株を発行
・広く資金を集められる
・既存株主の持分比率が薄まる(希薄化)
第三者割当増資 特定の相手(取引先・投資家など)に新株を発行
・資本提携・業務提携の手段としてよく使われる
・特定の相手との関係強化が目的
株主割当増資 既存株主に対して持分比率に応じて新株を発行
既存株主の持分比率は変わらない
無償増資 お金を受け取らずに株式を発行(株式分割など)
資本金の増加はするが、資金は入らない

メリット(行う理由)

事業拡大の資金調達。新しい工場を建てる、新しいシステムを開発するなど、まとまったお金が必要な時に行います。

財務体質が強化される(自己資本比率が上がる)。借金(負債)ではなく、返さなくていいお金(純資産)を増やすことで、自己資本比率を高めて倒産リスクを下げます。

デメリット

既存株主の持分が希薄化する
1株あたり利益(EPS)が下がる可能性がある

減資とは

資本金を減らすことです。増資と違い、必ずしも資金が出ていくわけではありません。

減資の種類

有償減資(実質的減資) 資本金を減らして、株主に現金を返還する
・余剰資金を株主に還元する場合に使われる
・実際にお金が出ていく
無償減資(形式的減資) 資本金を減らすが、株主への返還はない
・減らした分を繰越損失の穴埋めに充てる
・財務上の赤字を解消するための会計処理

メリット(行う理由)

赤字の穴埋め(欠損補填)。過去の赤字が積み重なって利益剰余金がマイナスになっている場合、資本金を切り崩してそのマイナスを相殺し、帳簿をきれいにします。

節税対策。日本の税制では、資本金が1億円以下になると中小企業扱いになり、税率が低くなったり、税制上の優遇措置を受けられたりします。そのため、あえて1億円ちょうどまで減らす大企業もあります(例:スカイマークやシャープ)。

デメリット

対外的な信用力が下がる印象を与えることがある
有償減資の場合は資金が社外に出る

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