核反応と化学反応の違い

目次

核反応と化学反応の違いのまとめ

起こる場所 反応の内容 エネルギー規模
核反応 原子核(陽子・中性子の組み合わせ)が変化 原子核が分裂・融合して別の元素になる 非常に大きい
放射線を放出することが多い
化学反応 電子のやり取り(原子核の周りの電子殻) 分子が新しい組み合わせに変化(例:水素+酸素 → 水)
元の元素は変わらず、化合物の種類が変わる
比較的小さい
通常は放射線を出さない

核反応=「原子そのものの種類が変わる」反応(元素変換)

化学反応=「同じ原子どうしのつながり方が変わる」反応(分子変換)

核反応とは

定義

原子核が他の粒子(中性子・陽子・別の原子核など)と衝突したり結合したりして、別の原子核に変わる反応。

特徴

  • 新しい元素や同位体が生まれる(元素変換)。
  • 反応の際に中性子・陽子・ガンマ線・ニュートリノなどが放出されることが多い。
  • 化学反応に比べて 100万倍以上大きなエネルギー を生み出す。

核反応の種類

1.核分裂反応

重い原子核が分裂して2つの軽い原子核になる。
例:ウラン235 + 中性子 → バリウム + クリプトン + 中性子 + エネルギー
原子力発電、原子爆弾で利用。

2.核融合反応

軽い原子核が融合して重い原子核になる。
例:水素 + 水素 → ヘリウム + エネルギー
太陽や水素爆弾、将来の核融合発電。

3.放射性崩壊(自然核反応)

原子核が自然に壊れて別の核種になる。
例:ラジウム → ラドン + α線


4.人工核反応

人工的に粒子をぶつけて別の原子核を作る。
例:粒子加速器での核反応実験、新元素の合成。

中性子

原子核の中にある粒子で、電気的に中性(+でも-でもない) の性質を持つ。

原子核の安定化や、核分裂・核融合などに重要な役割を果たす

原子核から外に出ると不安定で崩壊してしまう

化学反応とは

定義

物質の原子の種類はそのままで、原子同士の結びつき(電子のやりとり) が変わり、新しい物質ができる反応のこと。
「分子の組み合わせが変わる」だけで、原子核は変化しません。

特徴

1.電子が関わる

原子のまわりを回る電子(価電子)の移動や共有によって起きる。

2.元素は変わらない

反応前と後で同じ元素(原子)が残っている。
ただし結合の仕方が変わり、別の物質として現れる。

3.エネルギーの規模

化学反応のエネルギーは電子の結合に関係するので、数 eV(電子ボルト)程度。
核反応に比べると 100万分の1 くらい小さい。

燃焼反応
物質が酸素と結びついて熱・光を出す
C + O₂ → CO₂

分解反応
1つの物質が2つ以上に分かれる
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂


合成反応
2つ以上の物質が1つにまとまる
2H₂ + O₂ → 2H₂O

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