目次
原油と石油メジャーの価格チャート(WTI原油CFD)
2020年1月に新型コロナウイルスが発生
2022年2月にロシアがウクライナ侵攻
WTIとは
West Texas Intermediateの略で、アメリカ・テキサス州で生産される原油です。
WTI原油は、国際市場での需要が高く原油価格の基準として使用されることが多いです。
石油メジャーとは
世界的規模の石油関連企業です。石油・ガス探査、生産、精製、販売等の事業を行っています。
以下は、トップの5社です。
企業名 | 本社所在地 | 備考 |
---|---|---|
ExxonMobil (エクソンモービル) /XOM | アメリカ | 世界最大級の民間石油会社。原油・天然ガスの採掘から販売まで。 |
Chevron (シェブロン) / CVX | アメリカ | 米国西部中心に強み。LNG事業にも注力。 |
BP (ブリティッシュ・ペトロリアム) | イギリス | 環境対応に積極。過去にメキシコ湾原油流出事故あり。 |
Shell (シェル) | イギリス・オランダ | 再生可能エネルギーへの投資も進めている多国籍企業。 |
TotalEnergies (トタルエナジーズ) | フランス | 再エネ・電力分野にも進出。社名も「Energies」に変更。 |
CFDと先物の違い
CFDは、実際に資産を保有せず価格差だけで利益を狙う取引です。決済期限がありません。
先物取引は、将来の特定日時に資産を決められた価格で売買する契約です。決済期限があり、期日が来ると自動で決済されます。
原油とは
油田から採掘し精製されていない石油のことです。
精製によってさまざまな種類の石油製品が得られます。
精製
原油を熱して気化させ、その気体を冷却して再び液体に戻します。
沸点ごとに異なる石油製品ができます。
精製が困難なものはさらに加工します。(アスファルト等の重質油)
主な石油製品
・軽質油(密度が軽い、揮発性が高い、燃焼効率が良い)
製品名 | 蒸留温度帯 (目安) |
用途例 | 備考 |
---|---|---|---|
ナフサ(粗製ガソリン) | 約 30〜180℃ | 石油化学原料(エチレン・プロピレンなど)、ガソリン添加 | 非常に軽く、揮発性が高く、化学工業の原料として重要 |
ガソリン | 約 40〜200℃ | 自動車の燃料 | 揮発性が高く、内燃機関(オットーエンジン)用の主要燃料 |
灯油 | 約 150〜250℃ | 暖房器具(ストーブなど)、航空燃料(ケロシン) | 引火点が高く、安全性が比較的高い。ジェット燃料にも近い |
ジェット燃料 | 約 150〜250℃ | 民間航空機・軍用機の燃料 | 灯油に類似。高空の過酷な条件下でも燃焼安定性が高い |
軽油 | 約 180〜350℃ | トラック、バス、ディーゼル車用の燃料 | 引火点が高く燃費も良い。ディーゼルエンジンで使用される |
・重質油(密度が重い、粘度が高い、燃焼効率が低い)
製品名 | 蒸留温度帯 (目安) |
用途例 | 特徴・備考 |
---|---|---|---|
重油A | 約 350〜450℃ | 小型ボイラー、産業用加熱炉、船舶の一部燃料 | 粘度が低めで流動性があり、家庭用にはほぼ使われない |
重油B | 約 400〜500℃ | 中型〜大型ボイラー、工場用熱源、船舶燃料 | 重油Aより粘度・硫黄分が高く、発熱量も多い |
重油C | 約 400〜600℃ | 大型船舶の燃料、火力発電所、重工業熱源 | 最も重く粘度が高い。安価だが環境負荷も高い |
アスファルト | 500℃以上(残渣) | 道路舗装、屋根材、防水材 | 原油の最終残渣。ほぼ揮発せず、固体または高粘度の半固体 |
潤滑油基油 | 約 300〜400℃ | エンジンオイル、ギアオイル、作動油、潤滑油など | 特殊精製により粘度・安定性を調整。高純度が求められる |
・ガス
LPGは石油の副産物または天然ガス田から分離されるガスで、常温下でも圧力をかければ液体になります。
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | 液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas) |
主成分 | プロパン(C₃H₈)、ブタン(C₄H₁₀) |
状態 | 常温・低圧で液化(運搬や貯蔵がしやすい) |
供給方法 | ボンベ(LPガス)、タンクローリー、パイプライン |
主な用途 | 住宅の調理・給湯・暖房、業務用厨房、工業用燃料、タクシー燃料など |
発熱量(参考) | 約24,000 kcal/Nm³(プロパン)、約28,000 kcal/Nm³(ブタン) |
特徴 | クリーンな燃焼、無臭(ガス漏れ対策で臭いを付加)、家庭用エネルギーで広く利用 |
安全対策 | 漏れ対策として臭素系の匂い付き・爆発下限濃度に注意 |
環境性 | CO₂排出量が石炭・重油より少ない、非常時のエネルギーとしても有用 |
他のガスとの比較 | 都市ガス(メタン主体)より発熱量が高い/供給インフラが独立している |
石油の用途
分野 | 具体的な用途 | 主に使われる石油製品 | 備考 |
---|---|---|---|
輸送・運輸 | 自動車、トラック、飛行機、船舶の燃料 | ガソリン、軽油、ジェット燃料、重油 | 世界の石油消費の大部分を占める |
発電・熱供給 | 火力発電、産業用ボイラー、地域暖房 | 重油、灯油、軽油 | LNGや再エネへの転換が進行中 |
家庭用エネルギー | 暖房、給湯、調理(石油ストーブ・ボイラーなど) | 灯油、軽油 | 特に寒冷地で使用頻度が高い |
石油化学製品原料 | プラスチック、合成繊維、ゴム、洗剤、肥料など | ナフサ、LPG | 原油から分離した成分を化学反応で再構成 |
工業用潤滑・加工油 | 機械潤滑油、ギアオイル、作動油、切削油など | 潤滑油基油、グリース、特殊油 | 安定性・耐熱性が求められる |
建築・土木材料 | 道路舗装、防水材、シーリング材 | アスファルト | 最終残渣成分が再利用される |
医薬・化粧品原料 | ワセリン、ミネラルオイル、基材、添加剤など | 精製鉱油、パラフィン、医薬グレードの石油製品 | 高度に精製されて人体に安全な品質が必要 |
日本の輸入先
日本は多くの原油をサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)等の中東地域から輸入しています。
原油価格
原油価格の代表的な指標として3つあります。
1.北海ブレント原油価格 (欧州)
2.WTI原油先物 (アメリカ)
3.ドバイ原油価格 (アジア)
シェール革命
2000年代以降、アメリカでシェール層からのオイルの採掘技術の向上によって、大規模で高品質な原油を生産できるようになりました。
これによりアメリカは、原油輸出国となっています。
原油の歴史
1870年 | アメリカのジョン・ロックフェラーがスタンダードオイル社を設立しその後石油市場を独占しました。 ジョン・ロックフェラーは石油王でロックフェラー家は世界的な財閥になっています。 |
1911年 | スタンダードオイル社は独占禁止法により分割されました。 エクソンモービル、シェブロンはスタンダードオイル社を起源としています。 原油価格は、1バレル2~3ドル。 |
※原油の1バレルは、約159リットルです。 | |
1960年 | 中東の産油国が国際石油資本(石油メジャー)に対抗するため石油輸出国機構(OPEC)を設立しました。初期の構成国は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラです。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/opec/opec.html |
1973年 | 第四次中東戦争により第一次オイルショックが起こり1バレル約11ドルに上昇しました。 |
1978年 | OPECが段階的に大幅値上げを実施、1979年はイラン革命、1980年はイラン・イラク戦争が起こり、1バレル約40ドルまで上昇しました。 |
1983年 | WTI原油先物がNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)に上場しました。 |
1980年代後半 | 1バレル約20ドルに下落。 |
1991年 | 湾岸戦争で1バレル約41ドルに上昇。 |
1999年 | アジア通貨危機等で約9ドルに下落。 |
2008年7月 | 投資資金の流入や中国の石油需要の増大やハリケーン被害等により1バレル147.27ドルまで上昇。 しかし、2008年12月には、サブプライム・ローン危機で1バレル約30ドルまで下落。 |
2020年4月 | WTI原油先物価格は、マイナス価格である1バレルマイナス37ドルになりました。これは2020年3月に新型コロナウイルスが世界的に流行し原油の需要が減ったためです。 |
2022年2月 | ロシアによるウクライナ侵攻により原油価格が1バレル120ドルを超えました。 |
日本の世界の石油会社
日本
原油の開発と生産
会社名 | 証券コード | 備考 |
---|---|---|
INPEX | 1605 | 日本政府が筆頭株主 |
石油資源開発(JAPEX) | 1662 | 日本政府が筆頭株主 |
石油の精製と販売
会社名 | 証券コード | 備考 |
---|---|---|
ENEOSホールディングス | 5020 | 売上高1位 |
出光興産 | 5019 | 売上高2位 |
コスモエネルギーホールディングス | 5021 | 売上高3位 |
世界
会社名 | 備考 |
---|---|
サウジアラビア国営石油(サウジアラコム) | 原油生産量は世界一 |
クウェート石油公社(KPC) | |
カタール石油公社(QP) | |
アブダビ国営石油会社(ADNOC) | UAE |
イラン国営石油(NIOC) | |
中国石油化工集団(シノペック) | 中国石油天然気(ペトロチャイナ)は子会社 |
中国石油天然気集団(CNPC) |
参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%B2%B9
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/2-1-3.html#:~:text=%E6%88%91%E3%81%8C%E5%9B%BD%E3%81%AF%E4%B8%AD%E6%9D%B1%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE,32.7%25%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
https://www.jpca.or.jp/studies/junior/tour01.html
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