Windows AD グループポリシーとは (4つの階層)

目次

グループポリシーと4つの階層のイメージ図

グループポリシーとは (Group Policy)

Windowsネットワーク(Active Directory環境)において、ユーザーやコンピューターの設定を一括で管理・制限するための機能です。

管理者が一か所から設定を定義すると、ドメイン内の多数のPC・ユーザーに自動的に適用されます。

 

1. 主な役割とメリット

グループポリシーを使用することで、管理者は以下のような操作をサーバーから一斉に行えます。

セキュリティの強化 パスワードの最小桁数を決めたり、USBメモリの使用を禁止したりできます。
運用コストの削減 ソフトウェアの自動インストールや、デスクトップの壁紙、ブラウザのお気に入り設定などを統一できます。
設定の強制 ユーザーが勝手にコントロールパネルの設定を変更できないように制限をかけられます。

 

2. GPO(グループポリシーオブジェクト)

具体的な設定内容は、GPO(Group Policy Object)という単位で作成されます。

例えば、USB禁止ポリシーやパスワード強化ポリシーといった個別のルール(GPO)を作り、それを特定の部署やグループに紐付けることで機能します。

 

3.適用される順番

LSDOU

LSDOU(エルエスドウ)とは、グループポリシーが適用される順番を示す略語です。

Local ローカルポリシー(個々のパソコンの設定)
Site サイトポリシー(物理的な拠点ごと)
Domain ドメインポリシー(会社全体)
OU (Organizational Unit) OUポリシー(組織単位:営業部、総務部などの部署ごと)

後から適用されるほど優先度が高いため、競合した場合、上の表では下の設定が勝ちます。

たとえばローカルポリシー(L)でUSBを許可していても、ドメインポリシー(D)でUSB禁止と設定されていれば、ドメインポリシー(D)が上書きしてUSB禁止になります。

OUは入れ子にできるため、親OUより子OUのほうが優先されます。これがLSDOUのUが付いている理由です。

1.OUポリシーとは (OU Policy)

OUポリシーとは、Active DirectoryのOU(Organizational Unit/組織単位)に適用されるグループポリシーオブジェクト(GPO)です。

 

OU(組織単位)とは

ADの中で、ユーザーやコンピューターを部署、プロジェクト、役割などの単位で区切ったコンテナ(フォルダのようなもの)のことです。

例: 営業部、開発部、役員、共有PCといった名前で作成されます。

 

OUポリシーの役割

ドメインポリシーが全社員共通のルールを決めるのに対し、OUポリシーは特定のグループだけに例外や追加のルールを適用できます。

実務でグループポリシーを運用する場合、このOUポリシーが最も使われます。

  • 営業部には社外持ち出し用PCの設定を、開発部には特定の開発ツールの使用許可を適用する。
  • 一般社員にはコントロールパネルを禁止するが、管理者OUには制限なしを適用する。
  • 会議室にあるPCだけ「自動サインイン」させ、デスクトップの壁紙を「社内案内図」に固定する。

部署ごとの細かい要件をドメインポリシーに詰め込むと管理が煩雑になるため、OUで整理して適用するのがActive Directory運用のベストプラクティスとされています。

 

OUの入れ子と継承

OUは入れ子(ネスト)にできるため、親OUのポリシーは子OUに継承されます。

さらに子OUに別のGPOを適用すると、子OUのGPOが親OUを上書きします。

継承のブロックも可能で、特定のOUで上位ポリシーを引き継がないという設定もできます。

2.ドメインポリシーとは (Domain Policy)

ドメインポリシー(Domain Policy)とは、WindowsのActive Directory環境での、コンピューターネットワーク上のドメイン全体に適用されるルールや設定の集合です。

 

グループポリシー(GPO)との関係

ドメインポリシーはグループポリシーオブジェクト(GPO)を通じて実装されることが多く、ドメイン内のすべてのコンピューターやユーザーに一括で設定を適用できます。

 

具体的な設定例

  • パスワードの複雑さや有効期限のルール
  • アカウントロックアウトのポリシー(ログイン失敗回数の制限など)
  • ソフトウェアのインストール制限
  • デスクトップ環境の統一(壁紙、スタートメニューなど)
  • セキュリティ設定(ファイアウォール、暗号化など)

 

使用する理由

企業や学校などの組織では、多数のPCを個別に管理するのは非効率です。

ドメインポリシーを使うことで、管理者が一か所から全端末に設定を配布・強制できるため、セキュリティの統一や運用コストの削減が実現できます。

3.サイトポリシーとは (Site Policy)

サイトポリシー(Site Policy)とは、Active Directoryのサイトという単位に適用されるグループポリシーオブジェクト(GPO)です。

※サイトポリシーはあまり使われません。ドメインポリシーとOUポリシーだけで運用しているケースが多いです。

 

サイトとは

Active Directoryにおけるサイトは、物理的なネットワークの場所を表します。

IPサブネットをもとに定義され、たとえば東京オフィス・大阪オフィス・海外拠点といった、地理的・ネットワーク的に分かれた拠点のことです。

 

できること

ネットワークの物理的な場所に依存した設定を行う際に使います。

  • 拠点ごとに異なるプロキシサーバーの設定
  • ネットワーク帯域が細い拠点向けの通信最適化
  • 特定拠点のみに適用するセキュリティポリシー

 

4.ローカルポリシーとは (Local Policy)

ローカルポリシー(Local Policy)とは、個々のPC(コンピューター)に直接設定するポリシーです。

Active Directoryのドメインに参加していなくても動作します。

 

設定できる主な内容

アカウントポリシー パスワードの最低文字数・複雑さの要件
パスワードの有効期限
ログイン失敗時のアカウントロックアウト回数
ローカルポリシー ユーザー権限の割り当て(誰がログインできるか)
監査ポリシー(ログイン成功・失敗の記録)
セキュリティオプション(画面ロックの設定など)
Windowsの設定 スクリーンセーバーの強制
コントロールパネルへのアクセス制限
ソフトウェアの実行制限

 

設定方法

Windowsの「ファイル名を指定して実行」で gpedit.msc(※)と入力すると、ローカルグループポリシーエディターが開き、設定できます。

※ローカルグループポリシーエディターはHome版には搭載されていません。

個人用途のHome版では、設定アプリやレジストリエディターで代替するのが現実的です。

 

ローカルグループポリシーとは

関係のイメージ

ローカルグループポリシー
├─ ローカルポリシー(セキュリティ設定)
├─ 管理用テンプレート
├─ スクリプト
└─ その他設定

 

ローカルグループポリシーとは、PC単体で管理するグループポリシーの仕組みです。
→ローカルグループポリシー エディター (gpedit.msc)で設定できます。

ローカルポリシーは、PC単体に適用されるポリシーの概念です。
→ローカルセキュリティポリシー (secpol.msc)で設定できます。

gpedit.mscという大きな設定ツールの中にある特定の階層が、ローカルポリシー(secpol.msc)として独立して存在しているという関係です。

 

ツール名(実行コマンド) 内容 役割
ローカル グループ ポリシー (gpedit.msc) OSの全設定(壁紙、更新、制限など) 総合窓口。何でもできる。
ローカル セキュリティ ポリシー (secpol.msc) セキュリティ設定のみ 専門窓口。パスワードや権限設定に特化。

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